文化や太郎 (通訳案内士/日本文化)

経験40年通訳ガイドが通訳案内の情報や通訳案内士希望者へのお手伝い、インバンド、日本文化紹介のコツなどおりおり語ります。

太郎マニュアル(宴の後2.)

多くの場合イベント関連者のVIPかPressの添乗通訳案内担当ではなければ、臨時駐車場から当該スタジアム、イベントのためにだけ臨時に建てられた会場や仮設施設と間の移動導線/動線は長くて観客でごった返すことが一般的だ。

  1. 常設大型駐車場ではなく臨時駐車場の場所とその場所の標記は試合2日前午後辺りから設置されそれ以前は別用途に使用されている場合が多いので会場の下見に行くタイミングを気をつける。

  2. ガードマンや会場のスタッフは「その(試合の)時だけ」の人達なので担当場所以外の問い合わせには殆ど反応しない(出来ない)。事前に会場管理課の連絡先入手を勧める。

  3. 臨時駐車場のトイレ場所確認 ビールを飲み騒ぎながらの帰路もあり "I need very badly a toilet stop, please!"を避けるために必須。

  4. イベント後暗くなっている時間帯では(自分の立ち位置がわからなくなる)大きな臨時駐車場に駐車している数十台のバスの中から自分のバスを見つけることができないお客様がいるだろうことを前提にゲート前、トイレ前などわかりやすいミート場所を一ヶ所決め、駐車場のバスを自分で見つけられなければミート場所で待つこととし二重に迷子予防とする

  5. 駐車場やバス使用の契約時間が以前より厳しくなっているのでお客様の集合出発時間はラグタイムを加えて不測事態に備えて計算すること。

続く

ワールドラグビー (宴の後1.)

長らくのご無沙汰でした。ラグビーワールドカップの熱狂も落ち着きラグビー関連ツァーの後、過労でダウンした通訳案内士の仲間もいましたがいかがお過ごしですか。

「宴の後」で「宴」就業記録を残しておくことが、来年東京オリンピックでの仕事で導線(and/or)動線、外国人handling など自分だけの貴重な基本マニュアルとなります。(就業経験の記録を書き留めて後で整理していく作業は個人事業主の将来の知的財産となる。) 太郎は長野冬季オリンピックサッカーワールドカップ愛知万博東京マラソン、モーターショウ他の会場を走り回るたびに、一般観光のhandling とは全く違う状況の中で、どうすれば「お客さんを迷子にさせず文句を言わせず混乱状況にはさせず、そしてガイドは不必要に走り回らず疲れない(?)」 かと会場での動き方を考えてきた。

スマホ時代でありながら、最後はNoticeをかざしてお客さんを探しに走り回る若いスタッフ、数人が予定時間にバスに戻らないため不機嫌なバスの運転手さんを気遣いながら駐車場にポッチリ残っている新人通訳案内士、相変わらずの光景だ。東京オリンピックでは酷暑の中で右往左往するのは目に見えています。体力保持のためにも頭は冷静でいたいものです。

運転手さん


ガイド就業中の一番の味方は観光バスの運転手さんやハイヤーの運転手さんだ。逆に関係が不味いとツァーもうまくいかなくなる場合がよくある。

以前はバスの運転手さんの業界も縦社会で先輩から運行(道、駐車場所他)のコツを学び経験を積んできたが、今は通訳案内士業界と同様に、そのような慣習はすっかり消えた。時にはインバンド全くの素人ドライバー(大型トラック運転手だった人が転職) やタクシーの運転手さんが同グループハイヤー会社で臨時にハイヤー運転手さんとして出てくる場合もある。
通訳案内士が運行に自信が無くお客様を意識して つい「上から目線的に」運転手さんと関わった場合 最悪何が起きるかは想像にお任せするが、以前、運転手さんのブラックリストがあったように観光バスやハイヤー会社側にも態度が悪い通訳案内士のブラックリストが存在した。

若い頃ある大手の50代ハイヤードライバーに赤っ恥をかきながら色々教えていただいたことがあるが、彼の前職は国連職員だった。



それではまた

トンカツ格差

お客様のタイプによっては 「たかがカツされどカツ」でどこのレストランに連れて行くかは考えたほうがいい。
これはカツだけではなくラーメン、蕎麦屋にも言えることだが いわゆるファストフードのチェーン店系を期待して満足する節約レベルから B級グルメにも老舗本店の雰囲気を要求する人たちももちろんいるからだ。自分の個人的な好き嫌いでは決められない。

以前 超VIP夫妻の個人旅行で10日間各地をご案内した時に 京都の街中でこじんまりしたラーメン店を気に入られてラーメンを食べたいが他のお客さんと一緒は嫌だから一時間借り切ってくれ!と言われて ラーメン30杯分で交渉し ラーメンを楽しまれ 店主もハッピーだったことがある。

たかが 「カツ」だが レストランのプレゼンテーションと雰囲気は 「味」と同様に大切だ。もちろん これは「通訳案内士」にも当てはまる。同じ情報の提供でもその方法と彼/彼女が醸し出す雰囲気と人柄の「味」次第だろうと文化や太郎は思う。


at とんかつ とんき本店 photo by Bunkaya Taro

ではまた

とどめは文化や「カツ」太郎(笑)

「喝」「勝」で最後は「カツ」のお話。
通常のレストランへの案内ばかりではない、ひと昔前 B級グルメと言われていたメニューは今 A級グルメに出世、メージャーになった。
自由食の案内ではお客様のタイプ(年齢、アレルギー、宗教上の食事制限, 好み他)諸々で 決まるので、B級グルメのレストランの選択には要注意だ。
日本のカレーライスがインドのカレーと全く違う食べ物と同様に日本のカツが 山盛り千切りキャベツとセットで出てくる「トンカツ(豚肉)」だとわかっている若い旅行客は多いが 高齢なお客さんや 特に日本に熱く興味があるわけではないどちらかというと「受け身的な」お客さんにとって カツは必ずしもパン粉を付けて油で揚げた日本のトンカツを意味していない場合がある。彼らが思っている伝統的なcutletは仔牛の肉にパン粉を付けて炒め焼き付けた一皿のことだ。お客様によっては一言確認した方が間違いない 特に豚肉は宗教上食べない場合もある。

銀座の洋食レストラン「煉瓦亭」の創始者が西欧のcutletを真似て作ったのがトンカツの始まりで煉瓦亭のコックが1904年日露戦争に行ってしまい 添え物の料理が作れなくなりキャベツの一夜漬けを添えて出したのが トンカツに必須の千切りキャベツの始まり。ソースと千切りキャベツのおかわりは外国人旅行客にもたまらぬ「美味さ」だ。

Mr. Motojiro Kida, a founder of 'Rengatei' restaurant in Ginza has first made 'tonkatsu," deeply fried pork covered with bread crumbs, which is usually served with full of cabbage shredded into very fine strips.

original cutlet

Japanese pork cutlet

それではまた。

今夜は 文化や「勝」太郎


文化や「喝」太郎が 文化や「勝」太郎になる時!

前回の「呑んべい」宴会 お開きで テーブルの上の器類全て撤収、ライトOff。続編
通訳案内士としての「喝」太郎は 大騒ぎで千鳥足状態のお客様を無事に宿泊先へ連れて帰り ロビーでグダグダするも 何気に 頃合いを見つけお客の前から あれよと「消える」。
はい 今日1日のお仕事(paid by the day!) 無事に終了ご苦労さん!と いうところでしょう。

しかし個人事業主としての文化や太郎なら夕食場所で全ライトOffの前にまず「仕込む」。宿泊先ホテル/旅館のバー、宿泊先近くの健全な居酒屋(飲み放題有無チェック)数カ所に問い合わせ アバウトに収容人数と時間、値段の確認をし T/Lに情報を耳打ち、あるいはメモを渡す。
T/Lの了解と客全体の流れに応じて臨機応変に案内、席にお客が座り落ち着き始めたところで、店に任せ「消える」。(旅程に含まれていないからにはどこで消えるかは一考要。) The guests are happy, T/L is happier, and the organizer is the happiest.

インセンティブ(招待旅行)では特にこうした旅程にはない「現場の仕込み」は大切だ。オーガナイザーが満足すれば次回 来日時お客様側のエージェントから指名が来る。日本側のエージェントからではない。個人事業者文化や太郎が「勝」太郎に化ける時だ。

他者には単に運良く仕事が来るように見えていても、どこかでちゃんと「仕込んで」いるものだとは文化や太郎の実感である。
Enjoy your drink! ではまた。

文化や「喝」太郎 (呑んべい)

ツァーに出ておりました。今回も「お酒」のお話の続き。
「呑んべい」のグループ相手でお店の閉店の時間や 宴会場でのお開きの終了時間が過ぎても More 'sake' please! Bring all 'sake' here, please? グループでグタグタ動かず、あなたならどうしますか。

これがincentive tour (招待旅行)で企業絡みだったり 日本人には考えられないくらいアルコールに強い北欧系のグループ、いやいや単なる「呑んべい」集団だったり、お客様のタイプは色々です。
最近は飲食店の担当者や旅館の宴会場の派遣スタッフの労働時間規則が非常に厳しくなっているので、お客様を第一に「まあまあそろそろお開きに」というサービス業界のいい意味での「まあまあ」というアバウトは基本的にありえない「ご時世」となりました。

さて では お客様にもお店にも上手にお開きにするにはどうしまひょうか?

「喝」太郎: Your drinking time is over! Your dreaming time continues in your bed. Bye, bye! 'Sayonara'! " (Turn off the light!! Pitched dark) Finished!

飲食店や宴会スタッフには 遠慮なくテーブルを片付けてもらい最後に全ての電気を消してもらいます。一番下手なのは 酔ったお客様の勢いに引きづられ時間が過ぎていくことで 後日飲食店から超過料金を請求されてもエージェントに言い訳は出来ません。
ではまた。