文化や太郎 (通訳案内士/日本文化)

経験40年通訳ガイドが通訳案内の情報や通訳案内士希望者へのお手伝い、インバンド、日本文化紹介のコツなどおりおり語ります。

ほんまもんの蕎麦

今日は大晦日、年越し蕎麦でお蕎麦屋さんは時代が変われど相変わらず忙しい日だ。この時期に思い出す「お客様」がいる。

飛行機が着いてファーストクラスだったこともあり半時間ちょっとで到着階ロビーに米国からの富裕層一家が現れた。「車とガイドだけを用意してくれ、後は着いてから決める」というリクエストであった。先ずは皇居近くにある某ホテルのスイートへチェックイン。来日は11歳の男の子への誕生日プレゼントだということで翌日彼が行きたいところへ行った。

ジブリまんだらけ秋葉原、フクロウcafe、お台場ガンダムへ。そろそろ食事時となり
"I do love Japanese buckwheat noodle, please take me a 100% genuine Japanese 'soba' restaurant!! "
念のためお父さんのリクエストではない。息子さんのリクエストだ。
ガイド側の演出上、店構えの風格も伝統的に整った店を選びたかった。江戸三大老蕎麦屋さん本店に直行、ざる蕎麦一枚に生山葵と鮫皮の山葵おろし器を注文、天ぷらなどの追加など一切なく出来れば100%蕎麦粉を希望されたが八割蕎麦になった。
最初は蕎麦だけを味わい、次にツユを少々で一口、次に自分でおろした生山葵を箸で器用に蕎麦にチョイチョイと添えて蕎麦猪口へ、そして締めに別蕎麦猪口にて蕎麦湯を飲み干し "How savory and tasty!"と笑う少年の顔はグルメの大人の顔であった。両親は息子が満足したのを見て目を細めて喜ばれ私にOKの目配せをした。
ほんまもんの味の経験は「親からのほんまもんのプレゼント」であろう。

良い新年をお迎えください!ではまた