文化や太郎 (通訳案内士/日本文化)

経験40年通訳ガイドが通訳案内の情報や通訳案内士希望者へのお手伝い、インバンド、日本文化紹介のコツなどおりおり語ります。

菊 Vs. 葵

桜と菊とくれば次にガイド必須は徳川家の三つ葉葵(hollyhock trefoil) の家紋だろうか。three leaf clover と易しい表現もあり、お客さんを連れて歩く先々で馴染の家紋だ。松平(徳川)家が崇拝していた京都の賀茂神社の御神紋が葵でデザインされ「三つ葉葵」が将軍家マークとなった。

江戸時代には天皇家紋を凌いで権威の象徴となった三つ葉葵だが、大政奉還が行われた徳川家の二条城は天皇家の別荘二条離宮となり装飾も葵紋菊御紋は複雑な関係となった。城内では葵紋が削り取られた箇所や葵紋が残っている箇所もあり観光客が二条城を訪問すれば通る唐門の軒下には12箇所葵紋の上から菊紋の金具を被せてある。釘隠(decorative nailhead cover)の紋様や屋根に歴史の大きな変化が感じられ、その辺りは歴史と王室があるヨーロッパの富裕層高齢者FITのお客様はとても興味を持たれる。

時系列に歴史を説明するだけならイヤホンガイドやgoogleに任せればよい時代となった。ガイドとしての付加価値をどこでどう演出するかはツァーとお客さんのタイプをまず知ることから始まる。