文化や太郎 (通訳案内士/日本文化)

経験40年通訳ガイドが通訳案内の情報や通訳案内士希望者へのお手伝い、インバンド、日本文化紹介のコツなどおりおり語ります。

転石苔むさず

先回はminiature cultureの話でしたが 苔玉の「苔」は日本庭園では大切な要素です。

A rolling stone gathers no moss. をどのように解釈するでしょうか? 諺 の「転石苔むさず 」の意味で 商売や住居を変える人はお金が貯まらないとか、苔が生す(むす)ほどに じっくりと物事を構えることにpositive な意味合いが日本的解釈ですが、米国など他の文化では 「絶えず活動している人(rolling stone) は常に清新だ」と解釈 「苔が生じる」は 怠惰で動かないなど どちらかというとnegative な解釈もありお客様と庭を散策しながら日本庭園の重要要素から派生する内容の雑談も面白いです。

苔の美しさで最も有名な庭園は もちろん京都の西芳寺(苔寺)ですが気楽に訪問できると思っている訪日客が今日でも結構いらっしゃいます。 残念ながら来日前に西芳寺訪問希望の予約が必要です。また お庭を見る前に全員が写経をすることが決められているのでお客様によってはハードルが高い観光スポットとなります。

文化や太郎のお薦めは箱根美術館の苔庭です。強羅駅からケーブルカーで 公園上駅下車徒歩ですぐです。展示内容は江戸時代までの陶器ですがお庭には約130種類の苔(日本で一番苔の種類が多い)と200本の紅葉が植えられいるので、予約無しのため西芳寺に行くことが出来なかったお客様や 箱根のガイドで天候や渋滞などで行程変更を余儀なくされた時の選択肢にいかがでしょう。

ではまた。

photo by Bunkaya Taro at Saihoji Temple (the Moss Temple), Kyoto